- 子供のうちに様々な経験をさせてあげたい
- 子供にどんな経験をさせてあげればいいのかわからない
- 変化が激しい時代の中で生きていけるようなたくましい子どもになってほしい
子どもの自立力を伸ばすには、子ども時代の経験が重要です。
しかし、日本の従来の子育ては必要な経験を子どもから奪ってしまうことが多いと言われています。
8年教育分野でたくさんの子ども達と関わってきた私が解説します!
アドラー心理学を基にしたアドラー式子育てとモンテッソーリ教育は、何十年もの蓄積がある教育法で、非常に有用な考え方を教えてくれます。
毒親育ちの経験と教育分野に長く携わってきた経験からも、この二つの子育て法は非常におすすめできる考え方です。
この記事では、子供の経験値を上げる体験と親の見守り方について紹介します。
この記事を参考にして実践すれば、子どもの自立の力を高めることができます!
子どもの経験値を上げる4つの体験
子どもが自分で選んで決めた体験
人生は選択の連続
人生は選択の連続です。
人が1日に決断する回数は35000回と言われています。
参考サイト:1日の決断回数は9,000回じゃない〜研究では1日あたり35,000回〜
自分にふさわしい選択ができるかどうかが、子どもの人生にとって重要になってくるのです。
自立には「自分で選んで目標をもつ力」が必須
モンテッソーリ教育という子育て法をご存じですか?
モンテッソーリ教育は、数々の著名人が受けてきた教育として最近話題になっています。
- 元アメリカ大統領 バラク・オバマ
- Amazon.com創始者 ジェフ・ベゾス
- Wikipedia創設者 ジミー・ウェールズ
- Google共同創立者 サーゲイ・ブリンとラリー・ページ
- Microsoft創業者 ビル・ゲイツ
- プロ棋士 藤井聡太
すごい名前ばかりが並んでいますよね!
最近はyoutubeでも紹介されています。
そんなモンテッソーリ教育でも、このブログで紹介するアドラー心理学を基にしているアドラー式子育てでも、子どもの「自立」を目標としています。
よく考えたら「自立」って何だろう?
「自立」は「他に依存しないで生きる」こと
モンテッソーリ教育を受けた子どもたち「幼児の経験と脳」相良敦子
モンテッソーリ教育では、「自分で選んで目標をもつ」という過程が必須としています。
「自分で選んで目標をもつこと」が、社会の中で生き抜いていく自立の力を身に着けることに非常に重要なのです。
むしろ、逆に考えてみるとわかりやすいかもしれません。
自分で自分のことを決められないというのは自立とは言えませんよね。
引用元の書籍はこちら↓モンテッソーリ教育を受けた子どもたちがどんな成長をしたか学べます。
自分で問題を解決できた!という体験
この重要性を理解するには、モンテッソーリ教育の「敏感期」という考え方が非常に参考になります。
敏感期とは、「子どもが何かに強く興味を持ち、集中して同じことを繰り返す、ある限定された時期」のことを言います。
- 敏感期について詳しくはこちら→モンテッソーリ教育の「敏感期」とは?一覧表や図解で簡単にわかりやすく解説!
特に0~6歳までの敏感期は人生を生きていくのに必要な80%の能力が備わる人生で最も重要な時期と言われています。
人間は、この時期に活きるベースになる能力が決まります。
例えば次のような能力です。
- 感受性
- 表現力
- 言語能力
- 論理的思考
- 空間認知力
- コミュニケーション力
子どもは本能的に自分の伸ばしたがっている能力がわかります。
そして次のような過程でその能力を伸ばしていくのです。
- 自分で選んでやりたいことをやる
- 何度も繰り返してやる
- 集中して試行錯誤する
- 達成感・充実感・喜びを味わう
- 新しいことに挑戦する
子どもはこのように自分で問題を解決し、達成感を味わうことで能力を身に着けていきます。
「できた!」が積み重なることで自信につながるのです。
この過程の繰り返しが子どもの自信と脳を育て、自立へと繋がっていきます。
0~6歳までの敏感期が特に重要と言われています。
しかし、この過程は6歳以降の子どもにも重要な過程です。
教育分野で働く私も、この過程は子どもたちの成長のために必須だと感じています!
モンテッソーリ教育の具体的なやり方を知りたい人におすすめの本はこちら↓
失敗体験
失敗は成長のチャンスです。
そもそも失敗とは、
よい意図をもって、あるいは少なくとも、「親を困らせてやろう」というような悪い意図をもたないで行動したのに、たまたま結果がうまくいかなかったこと
3歳からのアドラー式子育て術「パセージ」
子どもは失敗から様々なことを学びます。
- 失敗したらどうするかという対応法
- 失敗を次に生かす分析法や思考法
- 失敗して落ち込んだ気持ちからの回復法
- 今の自分にできることとできないこと
- 人に頼ることの大切さ
人生に失敗は付き物です。
子どものうちから失敗をたくさんしておかないと、大人になってから失敗から立ち直る方法がわからないという事態に陥ってしまうのです。
引用元の書籍はこちら↓アドラー式子育てを基礎から学べます。
人から信頼してもらえた体験
自分をわかってくれる大人の存在は、心地の良い安心した状態です。
そのような大人がいる環境で育った子は、落ち着いた子どもになります。
人を信頼できる子どもになります。
上記3つの体験は、親が信頼して見守っているという土壌の上で体験することが重要です。
そうすることで、たとえ失敗しても乗り越えることができるし、安心して挑戦することができるのです。
経験値は社会を生き抜く自立の土台となる
なぜ体験が子どもを伸ばすのか
学習には、大きく3つの方法があります。
- 言葉
- 模倣
- 体験
モンテッソーリ教育では、
- 子どもは言葉を聞くことからでなく、環境を体験することから学ぶ
- 体験から意思と判断力を形成する
と考え、体験することが子どもの成長に非常に重要であることを示しています。
たしかにどんなに机に向かって学んでも、実際にやってみないと身につかないよね
上記で紹介した
- 自分で選んで決めた体験
- 自分で問題を解決できた!という体験
- 失敗体験
- 人から信頼してもらえた体験
この4つの体験は、
- 自分には能力がある
- 人は自分の仲間だ
という信念を育てる助けとなります。
その信念が「自立」を達成させてくれるとアドラー式子育てでは考えます。
経験は脳を育てる
自立した行動ができるようになるには、それ相応の脳の発達が必要です。
人間の脳は様々なよい体験をすることで、脳が育っていきます。
様々な体験をするということは、おのずと自分の手を動かすことになります。
- 自分の身の回りのことを自分でやる
- 家の仕事をする
- 外でたくさん遊ぶ
手先は脳の成長と密接にかかわっています。
様々な体験の中で、考え、手先を使っていくことが、自立に必要な脳、特に人間を人間たらしめる「前頭葉」を育てることになるのです。
前頭葉が発達すると例えば次のような能力が育ちます。
・順序立てて、ものごとを考えることができる。
・なにをするにも、計画を立て、順序を踏んで、着実に実行する。
・段取りがよい。
・先を見通すことができる。
・状況の読み取りが速く、臨機応変に対処することができる。
・ひとりでたじろがない。責任ある行動ができる。
モンテッソーリ教育を受けた子どもたち「幼児の経験と脳」相良敦子
実際の教育現場でも脳の成長のバランスが良い子は、どんどん自分で行動していく印象です!
モンテッソーリ教育と脳の育ちの関係を知りたい人におすすめの書籍↓
子どもを伸ばす親の5つの見守り方
子どもの課題は子どもを信じて任せる
信じるって具体的にどういうこと?
子どもを信じるとは、「子どものありのままを受け止めること」です!
ありのままというのは、
- ポジティブなところもネガティブなところも
- 条件が全くなくありのまま
ということです。
「○○してくれる子は好き」「××する子は嫌い」はご法度ということ!
子どもは自分のことは自分で決める力を持っています。
それを尊重して見守りましょう!
しかし、時には気づかないうちに子ども自身が解決すべき問題を親が代わりに解決してしまうことがあります。
それでは子どもの力が育ちません。
そこで知ってほしい考え方が「課題の分離」です!
課題の分離とは、アドラー心理学の考え方の1つで、「自分と他者の課題を分けて考える」というものです。
その課題の結末が誰にふりかかるか考える
例えば、学校の宿題は子どもの課題です。
子ども自身の学力になる
以上のように、親には何の結果もふりかかりませんよね。
なので本来は親が「宿題やりなさい」と子どもの宿題に口を出すことは余計なお節介になるということなのです。
それじゃあ冷たすぎない?特に幼い子どもには難しいように思うけど…
大丈夫!課題の分離は親子が協力し合うための1ステップなの!
適切に子どもを助けるための方法はこの後解説します。
- 課題の分離について詳しくはこちら→協力し合う親子関係を作る「課題の分離」|アドラー式子育て中の公認心理師が解説!
頼まれたときに手を貸そう
適切に子どもを手伝うためには、タイミングが大切です。
子どもを手伝うタイミングは「子どもから助けを頼まれたとき」です!
以下に重要なステップをまとめます。
- はっきりと言葉で頼まれたら助ける
- 子どもの話をよく聴く
- 目標を一致させる
- 何をどこまで手伝うか話し合う
はっきりと言葉で頼まれたら助ける
きちんとお願いができる齢の子どもからは、「はっきりと言葉で頼まれたら」手を貸しましょう。
そうでないと、
- 余計なおせっかいをしてしまう
- 子どもが自分の課題に対して責任をもたなくなる
という可能性が大いにあるからです。
例えば、
- 困っていそうだけど助けを求めないとき
- ちらちらと親の顔を見て何となく助けてほしそうな素振りを見せるだけ
このタイミングではまだ手を貸さずに待ちましょう。
もし手伝いを求めたいけど、どうすればいいかわからず困っているようであれば、「手伝いが必要かな?」と本人に直接聞いてみるといいです。
一点気を付けることは、発達段階です。
まだ言葉が上手に話せない幼い子には、言葉ではっきりと頼むことは難しいです。
なので、その場合は親に手伝いを求めているとはっきりとわかれば、手を貸してOKです。
子どもの話をよく聴く
子どもから手伝いを頼まれたら、まずは子どもの話をよく聴きましょう!
あくまで親は「お手伝い」であり、課題解決の主体は子どもです。
- どんなことをしたいのか
- 親に何を手伝ってもらいたいのか
などを丁寧に聴いていきましょう。
ここで注意したいのは「親の考えを言うこと」です。
基本は親の考えは話さず、子どもの話を聴くことを優先しましょう。
もし自分の考えを話したくなったら、
私の意見を言ってもいいかな?
と尋ねて許可を取ってから話しましょう!
子どものしたいことを援助するという視点を忘れずにいてくださいね!
親子で目標を一致を確認しよう
子どもの話をよく聴くことで、子どもの課題に対する目標がわかってきます。
この時、子どもの目標が受け入れられれば、親は手伝うことを承諾すればいいのです。
反対に、子どもの目標が受け入れられなければ、親は手伝うことを断っていいのです。
例えば話をよく聴いた結果、子どもの目標が次のような目標だったとします。
宿題わからないから、お母さんが全部代わりにやってほしい
これは、親としてはなかなか受け入れられない目標ですよね。
親の意見も伝えながら子どもとよく話し合った結果、この目標が変わらないようであれば、
それには協力できないな。ごめんね。
と断ってもいいのです。
え?断っちゃっていいの?
宿題は子どもの課題です。
子ども自身が自分の課題の結末を体験することは、ほとんどどんな経験でも子どもの成長につながります。
ただし子どもに任せない方がいい結末もあります
それについては後ほど解説します。
何をどこまで手伝うか話し合おう
目標が親子で一致したら、今度は「何をどこまで手伝うか」話し合いましょう。
ここでも課題解決の主体は子どもであることを忘れずにいてくださいね。
親が必ず手伝うべき子どもの課題
親が必ず手伝うべき子どもの課題は、子どもが
- 自分はダメな人間なんだ…
- 誰も助けてくれない…人はみんな敵だ!
と感じる可能性がある課題です。
このような体験は、子どもの自立を妨げてしまいます。
例えば、いじめにあってひどく傷ついている場合などです。
このようなときは、子どもと協力体制を作り、子どもの課題解決を必ず手伝いましょう!
この他に、子どもの身に重大な危険が及ぶ可能性がある場合は、親が介入して守りましょう。
子どもと一緒に喜ぼう!
子どもが課題を乗り越えた時には、子どもと一緒に喜びましょう!
ここでの注意点は、「『褒める』ではない」ということです。
- 「褒める」というのは、上の立場が下の立場にすること
- 大人も子どもも本来人間としての立場は対等
とアドラー心理学では考えます。
また子どもは褒められると、今度は褒められるために行動をするようになってしまいます。
それじゃダメなの?
例えば、子どもが自ら進んで宿題をしたとします。
その時に大人が褒めると、次から子どもは
宿題したよ!えらいでしょ!褒めて!
と言うようになるかもしれないのです。
逆に褒める人がいなければ宿題をしなくなってしまうかもしれません。
実際の教育現場でも同じような光景が見られます
本当は自分が褒めてもらうためじゃなくて、
- 宿題をしたら自分のためになるから
- 宿題は自分のやるべき仕事だから
というような自主的な気持ちでやってほしいですよね。
子どもの自主的な自立した行動を促すためにも、
できたね!やったね!
というように、子どもと一緒に喜んだり、楽しんだりすることが大切なのです。
上手くいかなかった時は整理することを手伝おう
10歳くらいまでの子どもは、未来を予測する力や過去を振り返る力が未熟です。
- 未来予測ができるのは10歳ころから
- 過去を振り返ることができるのは5歳ころから
と言われています。
つまり、5歳以下の子は物事の因果関係の理解が難しく、10歳以下の子は「○○したら××になる」という未来予測が難しいということです。
なんでこんなことがわからないの!?
と思うことがたくさんあるかと思いますが、まだ脳が未成熟だから仕方ないのです。
子どもが何かに挑戦して失敗し、どうして失敗したのかわからない様子であったら、状況の整理を手伝ってあげましょう。
それが子どもの能力の成長を助けます。
課題の分離や子どもとの協力の仕方を知りたい人におすすめの書籍↓
子どもの経験値を上げる4つの体験:まとめ
子どもの経験値を上げる4つの体験とは次の通りでした。
- 子どもが自分で選んで決めた体験
- 自分で問題を解決できた!という体験
- 失敗体験
- 人から信頼してもらえた体験
子どもが上記のような体験を積み重ねるには、親の見守り方が重要です。
なぜ経験値は「社会を生き抜く自立の土台」になるのか、これはアドラー心理学とモンテッソーリ教育が示してくれています。
どちらの理論でも共通しているのは、「体験が自立の力を伸ばす」と考えているところです。
適切な体験を通して
という信念を育つと「自立」を達成できる
そして、自立にはそれ相応の「脳の成長」が欠かせません。
これらの経験値は、子どもが自分らしく豊かに生きていくために必要な力を身に着けるのに重要なものです。
決して特別な経験ではありません。
日々の積み重ねを大切にしてくださいね!