- モンテッソーリ教育の敏感期を簡単に知りたい
- いつどんな敏感期が来るのか、わかりやすく知りたい
- 敏感期の子どもにはどうしてあげればいいの?
モンテッソーリ教育は、プロ棋士の藤井聡太さんやオバマ元大統領、Google創業者などなど数々の著名人が受けていたことで認知度が上がりました。
モンテッソーリ教育の中でも特に重要な概念が「敏感期」です。
一度は聞いたことがあるかもしれませんが、敏感期はたくさんの種類があって理解したり覚えたりするのは大変と感じることが多いと思います。
そこで公認心理師で教育分野に8年従事し、実際にモンテッソーリ教育を子育てに取り入れている私が敏感期をなるべくわかりやすく解説します!
今回は敏感期をわかりやすく表でまとめ、さらに図解も入れて解説しています。
モンテッソーリ教育を学び始めたばかりの人でも理解しやすいはずです!
- 敏感期を学ぶ3つのメリット
- ・子どもへのイライラを減らせる!
・子どもの能力を伸ばすことができる!
・子どもの自立心をつけられる!
敏感期とは?|敏感期一覧表
敏感期とは、子どもがある能力を伸ばしたがる旬の時期を言います。
どの能力をいつ伸ばしたくなるのかは、あらかじめプログラムされているのです。
敏感期の種類と、どの敏感期がいつやってくるのかをまとめたのが次の表です。
敏感期は、書籍によって分類が少々異なりますが詳しくいうと次の9つに分かれます。
- 言語の敏感期
- 運動の敏感期
- 秩序の敏感期
- ちいさいものの敏感期
- 感覚の敏感期
- 書くことの敏感期
- 読むことの敏感期
- 数の敏感期
- 文化・礼儀の敏感期
次はそれぞれの敏感期について図解を入れて解説していきますね!
敏感期の種類と特徴|図解で解説!(全9種類)
1.言語の敏感期
言語の敏感期は胎生7か月から5歳半までが該当します。
言葉を聞くこと、話すことが楽しくて仕方ない時期です。
特に胎生7か月から3歳までの期間は、母国語の基本を習得する重要な時期となります。
赤ちゃんの頃は言葉は話せませんが、言葉は聞いていますし、理解しようとしています。
言葉が話せなくても積極的に話しかけてあげてください。
2~3歳になると、それまでにため込んできた言葉が話し言葉となって現れます。
2.運動の敏感期
運動の敏感期は、6か月から4歳半までが該当します。
歩く、座るなどの体全体を動かす全身運動から、指を使う微細運動まで、自分の意思で体を動かすことが楽しい時期です。
子どもは自立する上で必要な運動の筋力を習得すべく動き回ります。
例えば赤ちゃんは、「ずりばい→たかばい→ハイハイ→つかまり立ち」の順序で歩行を習得します。
この過程が、必要な筋肉や体幹を鍛えるのに必要なのです。
最近はハイハイをあまりせず、つかまり立ちに移行する子も多いと言われています。
つまり、筋肉が十分に育つ前に次のステップに移行してしまっているということです。
最近の小学生を見ていると、姿勢を保てない子、眼球運動が弱く、集中力が保てない子が多い印象があります
これはモンテッソーリ教育の概念でなく、作業療法の分野でよく見る「感覚統合のピラミッド」です。
感覚や筋肉が育っていくとどんどん高度な能力が育っていくという図になっています。
土台にゆがみがあると、上位の学習や情緒コントロールなどの機能がうまく働かせられないのです。
つまり子どものやりたがる動きは、必要な筋肉や感覚、上位の能力を育てるのにとても重要なものだということです。
3.秩序の敏感期
秩序の敏感期は6か月から4歳までが該当します。
習慣、場所、順番がいつもと同じであることに強いこだわりを見せる時期です。
赤ちゃんはは何も知らない状態で生まれてきます。
その状態で周りの状況をどう認識していくかというと、「秩序」として吸収していくのです。
なので、いつもと同じ習慣・場所・順番に安心感を覚え、少しでも違うと不快感を覚えます。
秩序の敏感期は、2歳ごろがピークでイヤイヤ期とちょうど被る時期です。
親としてはこまってしまうことが多いですよね~。私も苦労してます(笑)
しかし親が安定していつもどおり接してくれることが、子どもにとって一番の安心な環境です。
子どもが秩序にこだわって困ってしまったときは
いつもと同じがいいよね
子どもの気持ちを受け止めながら
今日は○○だから△△でもいいかな?
というように工夫して話してみてください。
秩序の敏感期を大切にしてあげることで、将来の「段取り力」や「計画性」「倫理観」が伸びます!
4.ちいさいものの敏感期
ちいさいものの敏感期は、1歳から3歳までが該当します。
ちいさいものに目の焦点を合わせたい時期です。
赤ちゃんは目の焦点を合わせる練習をします。
小さいものに焦点が合わせられることで喜びを感じます
小さい虫や石やゴミなど、大人じゃ気づかないものをよく見つけますよね(笑)
子どもがちいさいものを見つけたら「よく見つけたね!」「いたね!」など、あたたかい言葉をかけてあげてくださいね!
5.感覚の敏感期
感覚の敏感期は、0歳から6歳が該当します。
5感を刺激するものへの強い関心や興味を抱く時期です。
感覚の敏感期には2段階あります。
0歳から3歳は、無意識になんでも吸収していく時期で、淡い色の違いなど微妙な違いやニュアンスを感じ取ることができます。
3歳から6歳になると、それまでに吸収した膨大な感覚情報を整理・分類・秩序化していきます。
この時期の子どもには、たくさんの「本物」と触れ合わせてあげてください。
そして大変かと思いますが、時間が許す限り子どもの好奇心に付き合ってみましょう!
様々な5感を通した体験をした子は、感受性や表現力が豊かな大人になります。
6.書くことの敏感期
書くことの敏感期は、3歳から5歳までが該当します。
目でしっかり見ながら書いてみたい時期で、「読むことの敏感期」よりも先に出てきます。
言葉で表現したり、整理したい気持ちの現れです。
文字が書けるようになるには、書く準備が整うことが重要となります。
書く準備とは次の3つです。
- 文字を知る…形や読み方
- 書くための手の発達…つまむ、手首を動かす運動の習得
- なぞる…指やサインペンでなぞる
全て日常生活の中で習得できます。なぞる練習は、はじめは鉛筆より筆圧が弱くても簡単に書けるサインペンがいいですよ!
7.読むことの敏感期
読むことの敏感期は、4歳から5歳半までが該当します。
文字が読むのが楽しくて仕方ない時期です。
文字を壁に貼っておいたり、絵本を置いたりしておくと、自分から読み始めます。
8.数の敏感期
数の敏感期は、3歳から6歳までが該当します。
数を読みたい!数えたい!時期です。
多い・少ないなどの量にこだわるのもこの時期です。
この時期になると数が言えるようになってきますが、数字と実際の量がつながっていないことを多くみられます。
そのため、数字と実際のもの対応させていってあげることが重要です。
「数えられる=数を理解できている」とは限らないということだね!
9.文化・礼儀の敏感期
文化・礼儀の敏感期は、4歳半からが該当します。
植物、動物、鉱物、宇宙、歴史、地理、芸術、挨拶、季節、行事など言語・数以外に出てくる世界のすべてに興味や関心を持ち、社会や世界とのかかわり方を知っていく時期です。
この時期の子どもは、多くの物事や人に接することにより、世の中の物事や人々の生活を整理し関係づけることができるようになります。
すると、環境の中での自分の役割を明確化できるようになります。
様々な経験がやがて社会の一員として立派に成長させてくれるのです。
敏感期を学ぶ3つのメリット
敏感期を学ぶことには大きなメリットがあります!
- 子どもへのイライラを減らすことができる
- 子どもの能力を伸ばすことができる
- 自立心をつけられる
子どもへのイライラを減らすことができる
- ティッシュを全部出してしまった!
- 机に落書きをしてしまった!
- わがままばっかり言って困る!
子育てをしていると子どもの意味不明な行動にイライラすることがたくさんありますよね。
しかし上記の敏感期で学んだように、子どもの行動はすべて「成長のために必要な活動」なのです。
- ティッシュを出す→運動の敏感期
- 机に落書き→書くことの敏感期
- わがままを言う→秩序の敏感期わがままばっかり言って困る!
というように理由がわかると少し落ち着きませんか?
私はよく「敏感期、敏感期~。困らせたくてやってるわけではない~」と自分に言い聞かせています(笑)
気持ちが落ち着くと、「どうすればいいか」も考えられるようになります。
例えば
- ティッシュの代わりにハンカチを箱に詰める
- 机に大きな紙を置いてあげる
- 子どもの気持ちを一旦受け止めてあげる
というようにです。
とはいえ、親も人間。多少のイライラは仕方ない!イライラする自分も許しながらやってくださいね~
子どもの能力を伸ばすことができる
敏感期は、子どもの「能力を伸ばしたい!」という本能的な欲求です。
なので敏感期を適切に応援できると、子どもはどんどん能力を身に着けていきます。
- 敏感期の応援の仕方は次の記事で→【準備中】能力が育つ子どもの敏感期の親の接し方
敏感期に基本の能力がどんどん積みあがっていくと、さらに高次の能力が育っていきます。
脳科学的に言うと、脳の神経ネットワークがつながっていき、人間を人間たらしめる前頭葉が発達していきます。
敏感期を大切にして前頭葉がどんどん育てていくと、例えば次のような子どもに育っていきます。
- 順序立てて、ものごとを考えることができる。
- なにをするにも、計画を立て、順序を踏んで、着実に実行する。
- 段取りがよい。
- 先を見通すことができる。
- 状況の読み取りが速く、臨機応変に対処することができる。
- わずかな差異に気づき、道徳性が高い。
- ひとりでたじろがない。責任ある行動ができる。
- 礼儀正しい。
増補新版モンテッソーリ教育を受けた子ども達幼児の経験と脳より抜粋引用
こんな子どもに育ってくれると親としてもうれしいですね!
自立心をつけられる
モンテッソーリ教育の目的は「自立すること」です。
敏感期を大切にされて育った子どもは、心身ともに自立に向かっていきます。
「増補新版モンテッソーリ教育を受けた子ども達幼児の経験と脳」によると、モンテッソーリ教育で育った子は次の特徴があります。(以下本書から抜粋引用)
- 人格面
- ・自分で判断し、自分の責任で行動する。
・善悪の判断がきちんとできる。
・なんでも意欲的、積極的、前向き。
・目標を立てて努力する。
- 生活面
- ・生活のリズムを規則正しく実行する。
・挨拶がきちんとできる。礼儀正しい。
・準備、段取り、片付け、などの仕事の手順がよい。
- 人間関係面
- ・他人の立場を考える。思いやりがある。
・共同の活動では、誰とでも協力し合う。友達と群れて行動しない。一人でも平気。
・注意されると、素直に受け入れる。自分の間違いを率直に認めて出直す。
・人のことを肯定的に考える。人の長所を見つけてほめる。人の成功を喜ぶ。
- 学習・能力面
- ・授業中によく聴く。集中して聴くので、その時間に理解する。
・自分で興味をもったものに意欲的に取り組む。
・解決能力がある。「どうしたらよいか」解決する方法を落ち着いて考える
- その他
- ・小学校高学年頃から自立が目立ってくる。
・先生方から「頼りになる」「この子がいると助かる」とあてにされる。
・中、高、大学、就職などの進路は自分で決め、その実現のための取り組みも考える。
すごい!まさに自立だね!
モンテッソーリ教育の祖、マリア・モンテッソーリは子どもたちの観察から、子どもたちは自ら自立に向かっていることを発見しました。
親は子育ての一環境として、子どもの自立への本能を伸ばしてあげればいいのです!
モンテッソーリ教育の敏感期とは?|まとめ
今回は、モンテッソーリ教育の敏感期について解説をしました。
敏感期の一覧は次の通りでした。
そして9種類の敏感期の詳細は次の通りでした。
敏感期を学ぶメリットは3つありました。
- 子どもへのイライラを減らすことができる
- 子どもの能力を伸ばすことができる
- 自立心をつけられる
注意点は、今回提示した敏感期の年齢は多くの書籍で述べられているものです。
しかしもちろん個人差はありますし、現代は環境の変化により昔と比べて少し敏感期がやってくる時期がずれてきているそうです。
なので我が子をよく観察して、子どものペースに合わせることを大切にしてください。
敏感期を適切に応援できると子どもの自立の力を伸ばすことができます。
敏感期の子どもへの接し方については次の記事で詳しく解説しています。
- 日常でできるおうちモンテッソーリ教育のやり方|敏感期の子どもを応援する接し方
- 【準備中】モンテッソーリ教育の「教具」とは?敏感期を最大限に生かして能力を伸ばす
また以下の書籍もおすすめです。
この書籍はモンテッソーリ教育についてやさしく解説されています。
また、子どもの才能を伸ばす具体的な遊びについてもたくさん紹介されています。
モンテッソーリ教育は「ぜひ取り入れたい!」「学べてよかった!」と思う有益なことをたくさん教えてくれます。ぜひ書籍も読んでみてくださいね!