- 子どもの脳ってどうやって育っていくの?
- 今のうちから子どもの能力を高めてあげたい
- どんな能力を伸ばしてあげればいいの?
- 将来はたくましく自信をもった大人になってほしい
変化の激しい時代の中で生き抜く自立できる能力をつけてあげたいと思っても、脳の仕組みやどんな能力を伸ばしてあげればいいか案外知りませんよね?
私は8年間教育分野に従事し、学生時代から含め15年間、心理学・教育・脳について学びました。
そして経験からどの分野でも子どもの成長のために大切なことは共通していることがわかりました。
この記事では、脳の仕組みと、伸ばしてあげたい能力について解説します。
この記事を読めば、社会を生き抜く自立脳を伸ばすために必要な能力がわかります。
結論だけ、先にお話しすると
- 脳の機能
- 脳の本能
- 感覚の体験
を満たしてあげることが重要です!
脳の発達には脳機能・本能・感覚を満たそう!
ここでは、自立につながる脳育てをするために脳の仕組みを学びましょう!
全部で3つの子育てに重要な仕組みを紹介します。
自立には前頭葉の発達が必須
前頭葉は人間を人間たらしめる脳部位です。
前頭葉が育っていると
- 順序立てて、ものごとを考えることができる。
- なにをするにも、計画を立て、順序を踏んで、着実に実行する。
- 段取りがよい。
- 先を見通すことができる。
- 状況の読み取りが速く、臨機応変に対処することができる。
- ひとりでたじろがない。責任ある行動ができる
増補新版モンテッソーリ教育を受けた子ども達「幼児の経験と脳」より引用
というような特性が見られます。
一方前頭葉が機能しなくなると、
- 一人で判断できない。
- 怒りのコントロールができない。
- 「これをしよう」と自分で決意できない。
- プランを立てることが難しい。
- 順序だてて考えることができない。
- 自分が次に行動すべきことがイメージできない。
- 意欲がない。
- すぐに忘れる。
- 無計画、先見性がない。
- 責任感がない。
- 節度にかける行動をする。
- 行動が単純な紋切り型で、惰性的。
- 思考内容が秩序立っておらず、断片的な推量しかできない。衝動的。
- 周囲に対して適応性がない。
- 人格が平板化してくる
- 増補新版モンテッソーリ教育を受けた子ども達「幼児の経験と脳」より引用
というような傾向がみられることがわかっています。
以上から社会を生き抜く自立の力を身に着けるには、前頭葉が育っていることが必須ということがわかりますよね。
引用元の書籍はこちら↓
情報を脳が処理していく仕組み
何でこんなこと知る必要があるの?
情報を処理する仕組みの中に子育てのヒントが詰まっているの!
そうなんです!
少し難しい言葉も出てきますが、なるべく端的にわかりやすく伝えますね!
ここでは、林成之氏の『ちゃんと集中できる子の脳は10歳までに決まる』の書籍を基に解説します。
- 大脳皮質神経細胞
- A10神経群
- 前頭前野
- 自己報酬神経群
- 線条体・基底核・視床
- 海馬回・大脳辺縁
だめだ!もう全然わからない!!
大丈夫!図解たっぷりで説明します!!
大脳皮質神経細胞
五感から入ってきた情報を認識します。
ここから前頭前野にいくものと、A10神経群にいくものに分かれます。
A10神経群
情報に対して、感情や気持ちのラベリングを行います。
ここで「好き」「おもしろい」などのプラスの感情や、「嫌い」「つまらない」などのマイナスの感情がラベリングされます。
前頭前野
情報の理解や判断に関わる高次の能力を司ります。
脳の司令塔とも呼ばれます。
A10神経群でプラスの感情を貼られた情報に対しては、理解と判断を進めます。
一方マイナスの感情を貼られた情報には「忘れてもいい」という判断をします。
自己報酬神経群
自分にごほうびを与え、うれしい気持ちを生み出します。
やる気や意欲を生み出す場所です。
前頭前野で理解や判断が進んだプラスの感情を貼られた情報がやってきます。
脳にとってのごほうびとは、「自分の力で達成した喜び」です。
本書でも
“自分から進んでそれをやり、成し遂げる”ことが、「自己報酬神経群」の働きを活発にしてくれます
林成之氏の『ちゃんと集中できる子の脳は10歳までに決まる』林成之
と解説しています。
線条体・基底核・視床
情報ターミナル駅です。
主に情報を各部位に運ぶ中継役をしています。
A10神経群と自己報酬神経群と繋がっています。
海馬回・大脳辺縁
海馬は短期的な記憶の保管を行います。
あくまで短期なので、長期保存をするためには何度も繰り返し学習するなどの過程が必要になります。
以上が各部位の機能になります。
本書では、②A10神経群・③前頭前野・④自己報酬神経群の3つの機能に働きかけながら子育てしていくことが重要としています。
つまり子どもが「楽しい!」「おもしろい!」と思えることが大切なんだね
そして最後までやり切った「達成感」が脳の最高のごほうびということ!
7つの本能を満たすと脳が活発に働く
ここでも林成之氏の『ちゃんと集中できる子の脳は10歳までに決まる』の書籍を基に解説します。
本書では、脳には7つの本能があり、これらを上手に満たすことで脳が活発に働き育っていくと主張しています。
その7つの本能とは以下の通りです。
- 生きたい本能
- 知りたい本能
- 仲間になりたい(誰かの役に立ちたい)本能
- 自己保存の本能
- 統一・一貫性を好む本能
- 自我の本能
- 共生の本能
それでは図入りでとても簡単にこれらの本能の解説をします。
生きたい本能
言葉通り、「生きたい」と思う本能です。
知りたい本能
言葉通り、「知りたい」と思う本能です。
生きるためには様々なことを「知る」必要があります。
仲間になりたい(誰かの役に立ちたい)本能
周囲の細胞とつながって機能するための本能です。
本能なので、無意識に人間はこの本能に沿うように生きます。
自己保存の本能
自分を守ろうとする本能です。
統一・一貫性を好む本能
筋の通ったもの、バランスのいいもの、一貫しているものを好む本能です。
自我の本能
「自分はこうやりたい!」と思う本能です。
共生の本能
違いを認め、共に生きようとする本能です。
上記6つの本能は、機能面でぶつかり合うことがあります。
ぶつかり合ってしまうと、脳はうまく働かなくなってしまいます。
共生の本能は、これらの本能の調整をしてくれます。
本書では、この7つの本能から「こころ」が生まれると言っています。
本能を上手に満たしてあげると、こころが豊かになりそうだね!
高次の脳の働きには感覚の体験が重要
子どもの成長にとって「身体の感覚」は非常に重要なものです。
ここで知ってほしいのが「感覚統合」です!
感覚統合とは、身体の感覚情報をまとめあげること。
例えば、今この記事を読むのには
- 眼球の動き
- 姿勢保持
- 重力への安心感
- スマホを持つ感覚
- 周りの雑音
など、たくさんの感覚が脳内に入ってきています。
もしも仮に眼球が上手に動かせなくなると、それだけで記事を読むことに集中することができないはずです。
今あなたが集中してこの記事を読むことができるのは、脳内で感覚情報がまとめあげているからなのです。
感覚統合はピラミッドのように積みあがります。
一番上を見ればわかるように、学習や情緒コントロールなどは一番高次な脳機能なのです。
高次な脳機能とは、はじめにお話しした通り「前頭葉のはたらき」のことですよね。
ピラミッドに歪みがあると、例えば雑音などの少しの刺激で簡単に高次の脳機能が乱れてしまうのです。
なので、1番上の機能(前頭葉の機能)が発揮されるためには土台の感覚がしっかりしていることが非常に重要なのです。
以上が脳の仕組みと伸ばすべき能力の解説でした!
仕組みや伸ばすべき能力はわかったけど、親は具体的にどうすればいいの?
という方は、次の記事をチェック→子どもの前頭葉を育てて自立を応援!どんな場面でもできる子どもの脳を育てる親の関わり方【公認心理師が解説】
脳のしくみを活かして、子どもの脳の力を高めるために親ができる汎用性の高い方法を紹介しています。
自立脳を育てる脳のしくみと伸ばすべき能力:まとめ
今回は、社会の中で生き抜く自立脳を育てるために、脳の仕組みと脳に良い親の関わり方について解説しました。
結論を先に言うと、自立脳を育てるには
- 脳の機能
- 脳の本能
- 感覚の体験
を満たすことが重要です!
脳には人間を人間たらしめる「前頭葉」という部位があります。
- 順序立てて、ものごとを考えることができる。
- なにをするにも、計画を立て、順序を踏んで、着実に実行する。
- 段取りがよい。
- 先を見通すことができる。
- 状況の読み取りが速く、臨機応変に対処することができる。
- ひとりでたじろがない。責任ある行動ができる。
増補新版モンテッソーリ教育を受けた子ども達「幼児の経験と脳」より引用
どの力も自立のためには必要な能力ですよね!
社会を生き抜く自立の力を身に着けるには、前頭葉が育っていることが必須ということなのです。
その前頭葉を育てるのに役に立つ脳のはたらきが、「脳の機能」「脳の本能」「感覚の体験」なのです。
「脳の機能」は、脳が情報を処理していく仕組みのことです。
- 大脳皮質神経細胞
- A10神経群
- 前頭前野
- 自己報酬神経群
- 線条体・基底核・視床
- 海馬回・大脳辺縁
ここからわかることは、
- 子どもが「楽しい!」「おもしろい!」と思えることが非常に重要
- 最後までやり切った「達成感」が脳の最高のごほうび
ということです。
「脳の本能」は7つあります。
- 生きたい本能
- 知りたい本能
- 仲間になりたい(誰かの役に立ちたい)本能
- 自己保存の本能
- 統一・一貫性を好む本能
- 自我の本能
- 共生の本能
これら7つの本能から「こころ」が生まれます。
そして「感覚の体験」で重要なのが「感覚統合」の考え方です。
感覚統合とは、身体の感覚情報をまとめあげることです。
感覚統合はピラミッドのように積み上がります。
なので、ピラミッドに歪みがあると、例えば雑音などの少しの刺激で簡単に高次の脳機能が乱れてしまうのです。
つまり、1番上の機能(前頭葉の機能)が発揮されるためには土台の感覚がしっかりしていることが非常に重要なのです。
以上の「脳の機能」「脳の本能」「感覚の体験」を満たすことで、脳がどんどん育ち、ひいては前頭葉が育つということになるのです。
いかがでしたか?
脳の仕組みや伸ばすべき能力はわかったけど、親は具体的にどうすればいいの?
という方は、次の記事をチェック→子どもの前頭葉を育てて自立を応援!どんな場面でもできる子どもの脳を育てる親の関わり方【公認心理師が解説】
脳のはたらきを活かして、子どもの脳の力を高めるために親ができる汎用性の高い方法を紹介しています。